◯三好良治君 皆さん、おはようございます。自民議連の三好良治です。今次定例会、一般質問のトップバッターで発言の機会を与えていただき、中本議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆様に感謝いたします。
さて、我が国でのコロナ発生から一年が経過しました。この間、県では累計一千六百七億円を感染症対策へ充て、果敢に取組を進めておられました。湯崎知事をはじめ、執行部、そして県職員の皆様の御努力に改めて感謝を申し上げます。
さて、いよいよワクチン接種が始まりましたが、一方で、ワクチンの副反応を心配する方も多く、先日もあるお年寄りに「優先的に打てるんですよ」と教えてあげると、そのお年寄りは私に「お前が先に打て」、「たまには役に立て」と言われました。つい納得してしまいましたが、不安な気持ちはお年寄りも若者も同じであり、副反応の情報についてもしっかりと示していく必要があると実感いたしました。
今後、ワクチンにより情勢が大きく改善することを祈ってやみませんが、一方で私は、コロナの後遺症は随分長く続くのではないかと心配しています。考えてみると、これまでマスクの存在さえ知らなかった世界中の人たちがマスクをつけ、町を封鎖し、渡航を禁じ、まさに腕力でコロナを抑え込んできたというのが実情であります。そう考えると、人類の病気に対する免疫力は確実に低下し、今後はさらに多くの感染症が拡大しやすくなるのではないか、また、さらに心の免疫力も低下し、これまでさほど気にも止めなかった遠い国の感染症にまで敏感に反応せざるを得なくなり、行動が常に抑制されるのではないか、そんなことを考えずにいられないからであります。
事実、今回のコロナウイルスはSARSコロナウイルス二型とも言われ、約二十年前に流行したSARSウイルスの変異型であり、コウモリ等にはさらに多くの種類のウイルスの保有が確認されていることから、人類は今後、数年ごとに新たなウイルスの脅威にさらされると警告する人もいます。今後につながる持続可能な対策が強く求められますが、私はそんなときこそ、一つ一つの施策判断の根拠やプロセス、責任の所在をしっかりと示していくことがより重要であり、そうした手続が政治判断という名の下に軽んじられ、思考停止に陥ることは決してあってはならないと考えます。
本日はこうした観点に立ち、これまでの施策も振り返りながら質問していきたいと思います。執行部の皆様の明快な御答弁をお願いしまして、質問に入らせていただきます。
質問の第一は、県の進める新型コロナウイルス感染症対策の取組について、三点伺います。
一点目は、積極的疫学調査で得られたデータの集積、分析と、これらを用いた施策判断に対するここまでの課題認識について伺います。
県ではこれまで新型コロナウイルスの感染症拡大防止対策として、三度にわたる営業自粛要請をしてこられました。初めの要請はまさに緊急事態であり、対象となる業種や時間の設定などについてもほとんどが手探りだったという実情に対して、県民の皆さんも一定の理解を示していただけるものと考えますが、二度目、三度目の要請については当然様々なデータやノウハウも蓄積されていたはずであり、これらをいかに施策判断へ生かすことができたのか、振り返って検証する必要があります。
日本公衆衛生学会が掲載している「保健師のための積極的疫学調査ガイド」には、PCR検査の陽性者に対する保健師の聞き取り調査に関するガイドラインが示されています。そこには聞き取りの項目として、接触者や日にち、場所などの情報は当然のことながら、特に飲食店を利用した場合には、時間帯、同行者、座席表、消毒やアクリル板の設置状況など、その内容が大変細かい部分にまで及ぶこと、そのため一回の聞き取りに三十分以上要することなどが書かれています。まさに現場の保健師の方々の大変な御努力により、私たちは重要な手がかりとなる貴重なデータを一つ一つ手に入れることができているのであります。
しかし、これまで陽性率や感染経路不明割合などの基本的なデータについては公表されているものの、肝心な集中対策の実施根拠となるべきこうした詳細なデータについては、現場の努力とは裏腹に、ほとんど示されることはありませんでした。ガイドラインには詳細なデータ収集を行う旨が定められているわけですから、県が主導的な役割を果たしさえすれば、現場での聞き取り項目の統一や各保健所設置市からのデータ収集のシステム化、分析体制の構築など、強力なデータ集約体制を整えることは確実にできたはずでありますし、その時間的猶予も十分にあったはずです。
県では、平成二十五年十二月に「広島県新型インフルエンザ等対策行動計画」を定め、その中で、県と市町等の情報の収集、共有について取り決めがなされていますが、この計画自体が機能しなかったことになります。休業要請等の発令は知事に権限があり、その際、状況の分析に基づく国との厳しい折衝も予測されるため、県内各市町の最新の情報が知事の下へ迅速に集まる仕組みは不可欠であり、こうした体制がしっかりと構築されてきたのか、また、現状はどうなのか、大変心配いたしています。
そこで、コロナ発生から一年が経過する今、振り返って積極的疫学調査から得られるデータに関して、聞き取り項目やフォーマットの統一化、また、各保健所設置市からのデータ収集システムの構築やタイムラインの設定など、県民の命につながる情報の管理をどのように行ってきたのか、その中での課題や問題点はなかったのか、お伺いいたします。
また、今後の対応についてもしっかりと検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
二点目は、飲食店の営業時間短縮要請の根拠と今後に向けた方針について伺います。
昨年末から始まった広島市内の一部を対象とする酒類を提供する飲食店の自粛要請については、私たち議会に対しても専決処分の同意を求めるべく説明がありましたが、我が会派からは、なぜ対象が広島市の一部に限定されるのか、短縮時間の根拠はどこにあるのかといった疑問の声も上がりましたが、これに対しては、新規感染者数と感染経路不明者の推移データが示され、緊急事態である、何としても抑え込みたいとの説明に終始されました。
先ほども申し上げましたとおり、本来は感染者が飲食店を利用していた場合には、時間帯や人数、配席や飲食の態度、感染防止策の有無といった詳細な状況まで聞き取りが行われているはずであり、その収集分析体制が整っていたのであれば、エリアの設定や対象となる時間等についても細やかな配慮ができ、飲食業界へ与えるダメージも最小限に抑えられたのではないかと考えます。飲食店の経営者からは、しっかりと感染対策をした店内でマナーよく食事をしてもらうほうが家で食べるより感染リスクは低いはずだという声もお聞きしましたが、そういった素朴な思いに対しても、私は何も答えることができませんでした。
さらに、対策の効果として飲食店の利用が原因とされる感染割合の推移が示され、広島市内においては二一%から一二%に減少したことから、一定の効果があったとの説明を受けましたが、その減少率を計算すると確かに四割減少しているものの、一方で、自粛要請を行わなかった他の市町においては実に約六割も減少しており、虚心坦懐にデータを見る限り、多額の費用を投入しただけの効果があったのか、疑問が残ります。結果として減ったからよかったで終わらせてしまうのでは、まさに思考停止と言わざるを得ません。
昨年十二月二十三日、分科会の尾身会長が会見で、飲食店が感染の急所と繰り返し発言され、その根拠を聞かれると、直接的なエビデンスはないが多くが飲食店で感染したと見ていると答えられ、私は困惑しました。飲食の場が三密の代表的なシチュエーションとなることは事実ですが、それは何の対策もしなかった場合です。こうした方針をうのみにしたという説明だけでは、県内で飲食店を営む方々の気持ちには決して寄り添うことはできないのではないでしょうか。
そこで、昨年末から始まった広島市内の一部を対象とする飲食店の営業時間短縮要請について、何を根拠に対象を飲食店としたのか、また、その範囲や要請時間についてどのようなデータを収集し、どのような分析の下で決定されたのか、これらを明確に示すことは、御協力をいただいた飲食店の方々への責務と考えますが、御見解をお伺いいたします。
また、今後、再び感染が拡大した際の営業自粛要請に向けては、どのような準備を進め、どのような方針で取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
三点目は、家庭内感染への対応について伺います。
感染の急所はどこか。先入観なく見れば、私は飲食店ではなく家庭であると思っています。厚生労働省は、感染の疑いがある者と同居する場合の注意点として、小まめにうがいや手洗いをすることや、一緒に寝る場合には頭と足を交互にすることなどを挙げていますが、私から見るとほとんど諦めているというのが実態ではないかと感じます。
確かに家庭内での感染防止は難しいことですが、過去、ペストの流行時において、ウイスキーを浸した布でテーブルを拭く習慣のあったポーランドでは感染がほとんど起きなかったとの報告は有名で、本当の急所を目がけて対策を打つ気にさえなれば、行政としても、例えば、家庭向けの食卓用消毒液の配付や紙コップや割り箸の推奨、これらを購入する際の補助など何かしらの対策が打てるはずだと考えます。アベノマスクと言われた全国民に直接マスクを支給する国の事業はいろいろと批判もありましたが、直接個人へ働きかけ啓発を行うという意味では、私は成果のあった事業だったと思っています。
そこで、家庭内での感染状況の認識と、今後、県として取り得る対策について、ぜひ具体的な検討を行っていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
次の質問は、ICT教育の推進に関して伺います。
国の掲げるGIGAスクール構想の下、いよいよ本格的にICT教育が始まる中、私は県に対して、公立学校と私立学校の格差を生じさせないための取組として、ぜひとも二点お願いしたいことがあります。
一点目は、ICT環境の整備についてであります。
校内のICT基盤整備事業では、国からの二分の一の補助に対し、公立学校では行政が残りの部分を補うため生徒の負担はありませんが、私立学校については、その財源を独自に確保しなければならず、おのずと学校や保護者等への負担は大きくのしかかります。また、何とか整備が進んで見かけ上は同じになっても、実際には、その質に差が出てしまうおそれがあるという点にさらに根深い問題があります。
例えば、県で進めるWi-Fiの整備では、一秒間に送信可能なデータ量を表すbpsの設定を一ギガbpsにすると伺っていますが、私学においては、コスト面の制約等により、現状、中学校二十五校中十三校、高校三十五校中十九校と半分以上は一ギガbps未満の通信速度しか有していません。将来を担う子供たちは公立、私立を問わず、私たちの大切な財産であります。私立学校に通う子供たちだけが爪に火をともすような我慢のICT教育を強いられるような状況は、決してつくってはならないと思います。
二点目は、授業目的公衆送信補償金制度への対応についてであります。
この制度は、デジタル教育における著作物の使用を前提として、補償金を支払うことで個別の許諾が不要となる制度で、本年四月より本格運用されます。額的には少額かもしれませんが、今後、保証金の引上げも予想され、私立学校においては、直接生徒児童の負担となることから、先ほどの問題とも相まって、さらに子供たちのICT教育に格差を生むのではないかと危惧しています。
そこで、子供たちのICT教育を推進するに当たって、公立学校と私立学校の子供たちにひとしく教育を受ける環境を確保するため、ICT環境の整備、また、授業目的公衆送信補償金制度への対応等について、県としても私立学校に対し積極的な支援を行うべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、広島県産農林水産物による食育の推進について伺います。
コロナ禍において県内農林水産物の消費に大きな影響が出ていることを受けて、県においては、県内の小中学校の給食で広島和牛と県産養殖魚のブリやマダイを提供する事業に取り組んでこられました。その結果、需要回復を牽引する効果も出ており、また、何よりも学びや遊びに我慢を強いられている子供たちに純粋に喜んでもらえた、とてもよい事業であったと感じています。実際に私も地元の小学校の児童たちがつくったレポートを見させてもらいましたが、中には、大人になったら漁師になってみんなにおいしいタイを食べさせてやりたいと書いてくれた児童もいました。今回の事業は、食べる食だけでなく、これまで縁遠かった畜産農家や漁師といった仕事、つまり、職業にまで思いが及ぶ、まさにダブルのしょく育であったことにも気づかされました。
今回の事業を通じて、県と市町、教育委員会と関係部局の連携や、生産者から子供たちへ効率的に県内農林水産物を届けるノウハウも確立され、今後の取組につながる大きな財産となったものと思います。今回は確かにコロナの特別対策であったことは重々承知していますが、こうした心温まるすばらしい独自の事業は、平時においてもぜひ続けていただきたいと願います。
そこで、学校給食提供事業に対する反響や食育の観点からの成果はどうであったか、改めてお伺いいたします。
あわせて、今後も県内の子供たちが県産食材への愛着と誇りを感じられるよう、他の県産食材を含め継続的な取組を望みますが、今後の対応についてぜひ前向きな御答弁をお願いいたします。
質問の第四は、県東部海域におけるカキ養殖の推進について伺います。
広島かきの生産に向けた取組については、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」においても、全国一の生産量を維持しながら、海外への展開を見据え、生産出荷体制を構築することが掲げられています。アフターコロナにおいて、県産食材の消費回復を目指す上で、広島かきは大きな牽引役を果たしてくれるものと期待しています。
特に令和元年度から出荷が始まっている県東部海域における三倍体かき小町の養殖については、来年度、生産技術や品質の向上に向けた試験に新たに着手するなど、県事業として積極的に取り組み、生食用殻つきカキの周年供給体制の確立に向け、生産拡大を目指すとされています。この夏カキは飲食店での利用だけでなく、新たに贈答品としての需要も高まってきており、広島かきのブランドの向上にも大きく寄与するものと考えます。
そこで、県東部海域の三倍体かき小町の生産量を着実に増やし、ひいては広島かき全体のブランド力を高めていくに当たり、どのような課題があり、また、今後どのような取組を考えておられるのか、お伺いいたします。
質問の第五は、雇用調整助成金の申請サポートの延長について伺います。
コロナ禍にあって、今後の経済回復に少なからず希望をつないでいるのが、国の雇用調整助成金並びに緊急雇用安定助成金であると考えます。その特例措置の期限については、緊急事態宣言の解除の翌月末までとする仕組みが導入されたことから、現時点で四月末まで、地域によっては六月まで延長される運びとなっています。
本県においても独自の施策として、昨年六月から三月末までの間、市町と連携して申請に要する費用を支援するなど、制度の活用を促進してこられた結果、一月二十九日時点で約五万五千件、約六百十三億円の雇用調整助成金が支給されていると伺っています。県の迅速な対応により、事業者の方々、社会保険労務士や何よりも実際に雇用調整の対象となった働き手の方々からも感謝の声が届いており、私自身大変感激いたしています。
そこで、これまで県の行ってきた雇用調整助成金等の申請に要する費用を支援する事業について、その延長や繰り返し申請、上限額の引上げなど制度の充実について御検討いただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
質問の第六は、在籍型出向による雇用維持について伺います。
今後は雇用調整助成金等と併せて、コロナの影響により一時的に余剰人員を抱える企業と人材需要の高い企業とのマッチングを図る、在籍型出向制度の活用による雇用の維持が求められてくるものと考えます。
そうした中、国の示したスキームでは、公益財団法人産業雇用安定センターの策定する雇用を守る出向支援プログラム二〇二〇を基に在籍型出向の取組支援を強化することとされていますが、心配な点も幾つかあります。このプログラムでは県や市町、商工会議所、労働局、社会保険労務士など多様な機関と連携しながら、情報の収集、提供、マッチングを行うとされていますが、例えば、小規模事業者が従業員一人を出向させるといった小さな規模のものは拾い上げづらいこと、通常の事業主にとってはセンターの認知度は決して高くないこと、労働条件の調整や就業規則の変更など出向契約の実務は大変煩雑であることなどが懸念されます。
私は、このようなときこそ、日頃から企業の動向を把握し、関係機関とも連携を深めてこられた県の力の見せどころだと考えます。
そこで、在籍型出向の利用による雇用維持が促進されるよう、さらなる制度の周知や煩雑な手続業務の支援など、県が関係機関と連携しながら積極的にその役割を果たしていくことが求められていると考えますが、具体的に今後どのような取組をされようとしているのか、お伺いいたします。
質問の第七は、県の進める働き方改革に向けた取組についてであります。
一点目は、県の考える働きがいの定義と広島県版働きがいのある会社優秀企業の創出に向けた対応について伺います。
コロナ禍であまり脚光を浴びてきませんでしたが、国の重要政策である働き方改革は着実に進められ、昨年から始まった年次有給休暇の取得義務化、時間外労働の抑制強化に続き、本年四月からは、同一労働同一賃金の導入や高齢者の安定雇用に向けた大きな改革も始まろうとしています。企業の経営環境が大変厳しい中ではありますが、県においては、引き続き、現場の声に耳を傾け、寄り添い、支援していく、そんな温かい働き方改革を推進していただきますよう御期待いたします。
県では、来年度当初予算において働き方改革推進事業を提案され、その成果目標として、働きがいのある職場づくりに取り組む企業の割合を五年後に五〇%、十年後に八〇%へと引き上げることを掲げておられますが、ここで私は、働きがいというキーワードについて、もう少し丁寧に説明していく必要があるのではないかと感じています。従業員の働きがいを向上させたいという動機は経営者なら常に持っているはずであり、また、働き手にとっても労働基準法や安全衛生法が遵守されたからといって高まるものでもなく、改革の目標としては少々曖昧で分かりづらいのではないでしょうか。本事業の根底となる働きがいというキーワードの定義について、今後の検証のためにも明確にしておく必要があると考えます。
また、当事業の主要な取組として、広島県版働きがいのある会社優秀企業の創出が提案されていますが、経済団体が平成二十九年に創設した働き方改革実践企業の認定制度においては、残念ながら、認定後に労働基準法上の指導を受けた企業もあったと伺っています。これまでも何度も申し上げてきましたが、事業への信頼性を担保するためにも認定後における不断のチェックが大変重要であると考えます。
そこで、まずは県の考える働きがいの定義についてお尋ねするとともに、併せて働きがいを向上させる取組を促進するための具体策についてお伺いいたします。
また、併せて、広島県版働きがいのある会社優秀企業の創出に当たって、県としてどのように関与され、具体的に取り組まれようとしているのか、お伺いいたします。
二点目は、同一労働同一賃金制度の導入及び高齢者の安定雇用に向けた取組について伺います。
県においては、働き方改革、多様な主体の活躍に向け積極的に対応いただいていますが、働き方改革には多くのテーマがあることから、私は、タイムリーな課題を選定し県民の見えるところで取組を行っていくことも気運を高めていく上で大切な手法だと考えます。私は、それが今年四月からスタートする中小企業における同一労働同一賃金の導入及び高齢者の安定雇用ではないかと思っています。
同一労働同一賃金の原則は、読んで字のごとく、同じ仕事に対しては同じ賃金を支払わなければならないという考え方であり、そのためには、我が国でこれまで長く続いてきた職能給から職務内容を重視する職務給への転換が前提となり、価値観を大きく変えていく必要があります。
制度の導入に向けた実務としては、これまで私たちは一つの仕事というものを大きなくくりで捉え過ぎてきた嫌いがありますが、まずはその仕事を細かくスライスし、切り分けることから始めます。そして、その一つ一つを職務評価等の手法を用い数値化した上でランクづけし、これらを役職や階級とひもづけるのと同時に、ポイント制による人事評価を導入し、連動させることで、仕事に求められる能力とその人の持つ能力がより実情に合った形でマッチングされる制度を構築するというのが一般的な手順となります。
そして、この制度をベースに階級ごとに労働者の職務内容や責任の範囲を比較し、全て同じであるならば一切の待遇差を禁じる均等待遇が、また、合理的な差があるのであればその割合に応じて待遇差を認める均衡待遇が求められることとなり、これにより正規社員と非正規社員の間の不合理な待遇差をなくし、スムーズな階級移動や外部人材の登用を促そうとするのが同一労働同一賃金の根底にある考え方と言えます。不合理な待遇差がなくなり多様な働き方が促進されれば、まさに県の言う働きがいの向上にもつながるのではないでしょうか。
しかし、このように同一労働同一賃金はイメージはしやすい一方、実際に導入するための準備は複雑であるため、四月を目の前にして多くの県内企業の悩みの種になっているのが実情ではないかと思っています。
次に、高齢者の安定雇用については、高年齢者雇用安定法の改正により、この四月から事業主には七十歳までの就労確保の努力義務が課せられます。さらに、年金法も改正され、来年からは、厚生年金の受給開始時期が六十歳から七十五歳の間での選択制に改められ、仮に七十五歳から受給を開始した場合には、最大で月額八四%の増額支給となります。また、在職中の年金受給の在り方に関しても、これまでは六十歳から六十四歳の在職老齢年金の支給停止基準額が二十八万円であったのに対し、今後は、六十五歳以上と同様の四十七万円に引き上げられることから、年金をもらいながら働く六十歳以上の方は、賃金と年金の額を合わせて四十七万円に達するまで年金額は一切支給停止を受けないことになります。このことで六十歳前後の方々の働く意欲は格段に高まると思いますが、その際、高齢者が働きやすい職場環境の整備を県が先頭に立って支援することで、多くの働く県民の共感も得ることができるのではないでしょうか。
以上の二つは、これまでの私たちの価値観を大きく変える大変重要なテーマであり、今後、県が推し進めようとする働き方改革においても具体的なテーマとして取り上げ、県民に見える形でぜひとも積極的な対応を行っていただきたいと考えます。
そこで、県の取り組む働き方改革及び多様な主体の活躍の推進において、まさにこれから制度運用がスタートする同一労働同一賃金の導入と高齢者の安定雇用に向けて、どのように位置づけ、どのような取組を行っていくのか、お伺いいたします。
以上で私の質問は終わります。御清聴、誠にありがとうございました。
