◯三好良治君 皆様、こんにちは。自民議連の三好良治でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただき、中本議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
さて、私事で大変恐縮ですが、三十八歳で初当選させていただき、あれから十二年がたって、現在、人生節目の五十歳を迎えさせていただいております。
三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を聞くとの論語の教えがありますが、残念なことに私の頭の上からはいまだ何も降ってきません。ただ、この時代の平均寿命は三十二、三歳だったと言われており、実は、ほとんどの凡人は、立ったと思ったらすぐに死んでいたわけであります。ですから、今の年齢に置き換えて計算すると、なんと、八十四にして立ち、百十二にして惑わず、百四十にして天命を聞くということとなり、私も素直に諦めることができます。
長く生きられるこの時代をありがたいと思うとともに、私自身は焦らず、楽しく、生きているだけで丸もうけと、心のゆとりも持って生きていきたいと思っています。
しかし、一方で、世界に目を転じれば、ウクライナ侵攻は長期化し、多くの若者が現実に命を落としています。
五月のサミットに向け、また、それを契機に長寿と自由を享受する私たちは、どのような価値観を持ち、どのような貢献ができるのか、真剣に向き合う必要があります。
私がかつてお仕えした宮澤喜一先生は、ハト派の伝言という本の中の対談で、これからの時代を生きていく人たちは自由の制限につながるような芽を常に摘み取っていく、その努力を怠らないで欲しいと訴えかけ、結びに、目に見える豊かさを大樹に例え、また、それを支えている根を活力のもと、すなわち自由に例え、大樹深根という言葉を贈られています。
そして、よくこの自由という心のありようを、玉壺氷心という言葉に例えておられました。これは、宝石のつぼの中に透き通った氷が浮かんでいるような澄み切った心境という意味ですが、時代の空気に同調するばかりではなく、自立自尊の誇りを持ち、常に自分なりに考え続けよとの教えであったと理解しています。
コロナ禍の中、戦争は現実に起こり、世界経済は混沌とする今、無力ながらも自ら世界のありようについて思いをめぐらせ、また同時に、身近な県政の諸課題やその対応についても、自由を制限する芽はないか、玉壺氷心の心境で勉強し続けていきたいと思っています。
どうぞ、執行部の皆様には、そうは言いましても、氷の心のような冷たい答弁にならないよう、温かみのある御答弁をお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
初めの質問は、自治会組織の持続的な活動への支援についてであります。
私は、昨年の二月定例会の一般質問において、特にコロナ禍の影響もあり、町内会や子供会の通常活動が停滞し、持続的な活動が一層困難になってきている現状を上げ、DXを活用した民間企業による自治会組織に対する支援の可能性について質問させていただきましたが、その際の答弁は、あくまで市町の問題であり、県は、市町に情報提供するという回答でありました。
しかし、このたび、来年度予算において、中山間地域の自治会組織を対象に、地域の将来を見据えた課題解決に向けた取組を支援するためのモデル事業が提案されており、私は、これまでの県のスタンスから大きく前進する、非常に画期的なことであると高く評価しています。
しかし、都市部や中山間地域など、自治会や町内会などの地域コミュニティーが抱える課題は様々です。規模や地域の状況等によって課題は異なることから、対策を講じたとしても、それぞれの地域の取組だけにとどまり、広域的な課題解決につながっていないのが実情ではないでしょうか。
今回提案されているモデル事業では、市町と連携して、こうした課題の発見と解決に自主的に取り組もうとする自治会組織への財政支援がその主な内容となっていますが、ぜひ、市町の後方支援だけに終わらせず、事業で得られた結果を基に、これまで申し上げてきたようなDXを活用した民間企業の参入の可能性など、将来的には県独自の方向性や理念を持って、大きな事業へと育てていただき、それを県内の全ての地域へ横展開できるような発想をお持ちいただきたいと願っています。
そこで、自治会組織の持続可能な組織体制を構築していくため、モデル事業を実施した上で、県が中心となった全県的な施策展開が必要と考えますが、今後の方針について知事の御所見をお伺いいたします。
次の質問は、国保の県単位化に関わる現状と課題についてお伺いします。
県におかれては、平成三十年度から広島県が国民健康保険の財政運営を担う責任主体となり、同じ所得水準、世帯構成であれば、県内どこに住んでいても同じ保険料との考え方の下、国保一元化に取り組まれているところですが、その激変緩和措置期間もあと一年をもって終了することから、まさに本年は仕上げの一年と位置づけられます。
そこで、よりよい制度となるよう期待を込めて、三点お伺いいたします。
一点目は、医療費水準と保険料水準の関係についてであります。
令和二年度国民健康保険の現況によると、県内市町の一人当たりの年間医療費は約三十七万円から五十万円と、およそ一・三五倍の差が生じています。
これらは、市町ごとの高齢化率、医療資源の偏在状況、さらには、健康事業の推進状況や、子供の医療費助成制度における対象年齢の差など、様々な要因によるものと考えられます。私は、これらの要因と医療費水準との因果関係を可能な限り分析し、統一保険料を算定するに当たっては、この医療費水準や医療資源の偏在状況などを勘案して、まずは第一弾として、市町ごとに異なる保険料を設定し、その後、最終的に同額の保険料を目指すことも保険料の平準化に向けた一つのアプローチではないかと考えますが、実際に他県ではこのような方法を取るところもあると伺っています。
これまでも、こうした提案を行ってきましたが、一方で、県は、市町間に差が生じているものの、ある一定の医療費水準が担保されているとの理由から、同一保険料とするに当たっては市町ごとや地域の医療費水準は考慮しないとの方針を早々に決定されました。
地域によっては小児科や分娩室がないなど、医師や診療科の偏在が浮き彫りになっていますが、果たして、今の状態を一定の水準が担保された状態と言えるのでしょうか。また、いち早く医療費水準を考慮しないと高らかに宣言されたからには、少なくとも、例えば、市町ごとに設定年齢が異なっている子供の医療費助成制度の統一など、県民の抱く格差感情を少しでも和らげる方向性を明確に打ち出し、挑戦する姿勢を示すべきではなかったでしょうか。
この点について、令和二年十一月の決算特別委員会の私の質問に対して、市町と協議、検討を重ねるとの答弁がありましたが、では、この間、どのような取組がなされ、具体的にどのような成果があったのか、その上で、国保の保険事業の標準化の現状に対する課題認識と今後の対応方針について、健康福祉局長にお伺いいたします。
二点目は、市町別の収納率を反映した保険料率についてであります。
県では、負担の公平性という観点から、市町別の収納率を反映した保険料率を設定する方針と伺っています。
つまり、収納率のみを反映させ、収納状況の悪い市町は保険料率を高くし、市町ごとに違った保険料設定を行うということであります。
本来、県がもっと汗をかき、調整しなければならなかった市町ごとのサービスの一元化はそのまま放置し、収納率が低い市町については保険料をその分高くし、その責任を住民の責任感情へ負わせてしまうようなやり方を取れば、一層不公平感を強め、さらなる悪循環を生じさせかねません。こうした対応は、まさに問題の本質をすり替え、責任を転嫁しているだけのように感じてならないのであります。
そこで、保険料水準の平準化とはどのようなものになるのか、収納率の保険料率への反映方法も含め、イメージをお示しいただくとともに、今後こうした内容をしっかりと見える化し、広く県民、市民の議論及び理解を深めてもらうべきと考えますが、あと一年、どのように取り組んでいくのか、健康福祉局長の御所見をお伺いいたします。
三点目は、市町村標準保険料率についてであります。
現時点で、県が示している市町村標準保険料率と実際の保険料率には乖離があり、市町ごとに保険料や引上げ率に差が生じていることを大変心配しています。
激変緩和期間中に、県が示す市町村標準保険料率まで段階的な引上げを行うことを求めるのが県の役割であり、急激な保険料率の上昇を抑制するため、基金を取り崩したり、補填しながら緩和調整が行われていることは、工夫の結果とも言えるかもしれませんが、逆に市民目線で考えると、問題を先送りにしているだけのようにも見えます。
県の果たすべき役割を考えれば、今の状態は、まだまだ道半ばと言わざるを得ませんが、こうした現状に対する課題認識と今後の展望について、健康福祉局長の御所見をお伺いいたします。
次の質問は、人材開発支援助成金を活用したリスキリングの推進についてであります。
岸田総理は昨年十月の臨時国会における所信表明演説で、リスキリングへの公的支援など、人への投資に五年間で一兆円を投じると明らかにされました。
県におかれましても、来年度予算案の中で、人材開発支援助成金の活用支援事業等に一億円余の予算を計上されており、国の方針に即応した有効な事業であると高く評価するものであります。
一方で、人材開発支援助成金の一つである事業展開等リスキリング支援コースの申請に当たっては、事業展開等実施計画や訓練実施計画など、数多くの取決めや申請が必要となりますが、これらは大変複雑であり、少しでも要件を欠くと、せっかく投資をしたのに後になって助成金が支給されないこともあり、数ある中でも申請が難しく、リスクの高い助成金と言われています。
こうした実情を酌み取り、コロナ禍において実施された、雇用調整助成金等の申請サポート事業と同様に、専門家に受給環境の整備に向けたアドバイスや申請代行を行ってもらえるようにすることは、大変有意義な事業であると考えます。
このような国の助成制度をうまく活用し、企業や従業員、行政が潤う仕組みをつくることも、県の重要な役割ではないでしょうか。
また、その際、こうした仕組みの構築によって、どれだけの県内事業者の方々に国の事業を利用いただいたのか、その結果、企業の収益や従業員の所得向上、県の税収等にどれだけの効果があったのか、例えば、実施報告書や支給決定通知書の提出も併せて求めるなどの工夫をすることで、後にしっかりと効果を検証することも可能となり、費用対効果の見える化を通して、県税の使途に対する県民の理解も促進されるのではないかと考えます。
そこで、今回予算計上されている人材開発支援助成金の活用支援事業の詳細をお示しいただくとともに、当事業にどのような効果を期待されているのか、また、その効果を後に検証するため、どのような工夫をされるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次の質問は、処遇改善加算制度の効果的な活用と賃上げ効果を継続させるための県の取組に関して、三点お伺いいたします。
一点目は、私立幼稚園職員の処遇改善についてお伺いします。
現在、保育、介護、障害、医療の現場で働く方々の処遇を改善するため、処遇改善加算制度が導入されていますが、特に、保育の現場では、保育園と幼稚園で加算制度が統一されておらず、その差が顕在化してきているとの声を伺っています。
他の職種と同様、県内の私立幼稚園においても、近年の教職員不足を受けた人材の確保・育成の問題や、新型コロナウイルスの感染拡大防止への対応、さらには原油高・物価高騰の問題など、多くの経営課題を抱えながら運営に努められています。
そうした中、県において取り組まれている私立幼稚園教員に対する処遇改善やキャリア形成等の施策は、優秀な人材を恒常的に確保することに大変効果的であると伺っています。
しかし、幼稚園教員の労働環境は、これら働き方改革をもってしてもなお良好とは言い難い状況にあり、厚生労働省の令和三年度賃金構造基本調査によると、県内の幼稚園教員の平均勤続年数は八・二年で、県内の全職種の平均である十二・四年と比べると、四年程度も短くなっています。また、令和三年における県内の幼稚園教員の平均年収は約三百六十九万円で、全職種の平均である約三百八十七万円と比べ、十八万円もの賃金格差が生じているのが実情であります。
このため、幼稚園教員免許を取得しても、他の職種を選択する者が増え、私立幼稚園は教員の確保、維持に苦慮されています。
このような状況下において、広島県では、平成三十年度に広島県私立幼稚園教員確保支援補助金を創設し、私立幼稚園の人材確保のための支援を実施されていますが、当補助金では補助対象が専任教員に限定されているため、事務職員等は対象外となっています。また、この補助金は、県人事委員会勧告を超える毎年の給与のベースアップが補助要件となっており、一部の幼稚園では事務処理が非常に煩雑であることから、申請に至らない状況も見受けられます。
そこで、今後とも私立幼稚園において、継続して質の高い幼児教育を提供できるよう、教員や事務職員等の確保、維持が必要であると考えますが、この補助金の利用促進を図るため、どのような取組を考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
二点目は、処遇改善加算制度の効果的な活用について、今後の状況把握に向けた県の取組についてお伺いします。
処遇改善加算制度は内容が複雑であり、実際に制度の趣旨に沿って運用していくためには、事業者に大きな負担が生じます。例えば、最低賃金に関する規定や、昇給、昇格のルール、賃金体系などをあらかじめ就業規則に定め、併せてキャリアパスや人事評価制度の導入、研修の実施計画の策定などが事前の準備として必要となります。
しかし、実は、こうした手続は、書面だけの計画と実績報告で足りるものもあり、それゆえ、その内容どおりの適切な処遇改善が実施されているか、十分確認されていない懸念もあります。
私自身、昨年の予算特別委員会において、制度が効果的に活用されるためには、申請要件にある取組が本当に実施されているか、県がしっかりと検査、指導する必要があると要望させていただきましたが、早速、今年度、何か所かの介護施設を対象に実態調査をモデル的に実施していただき、感謝しています。
大半が適正な運用をなされていたとのことですが、逆に幾らかの問題点も見えてきたとも伺っています。
介護施設に限らず、保育、障害、医療の現場についても、各担当部署において積極的な対応を取っていただけるよう強く要望するものであります。
そこで、保育、介護、障害、医療現場等における処遇改善加算制度の効果的な活用に向け、今後、県としてどのように関わり、賃上げを含めた職員の処遇改善に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
三点目は、賃上げ効果を持続させる取組についてお伺いします。
昨年の二月定例会の知事説明の中で、知事は、県として賃上げ効果が継続するための取組を行っていくと表明され、私がこのことについて質問したところ、処遇改善加算を継続的に活用できる環境整備に取り組んでいきたいとの健康福祉局長の答弁をいただきました。
しかし、残念ながら、これは処遇改善加算を支給することによる賃上げ自体の話であり、その効果を持続させるための県独自の取組とまでは言えないものであります。処遇改善加算を支給するだけの給付事業や、賃上げを求めるだけでは無策と批判されても仕方ありません。
そこで、賃金上昇を促し、効果が継続するための県独自の取組とはどのようなものなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次の質問は、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立に向けた生産者等に対する支援についてお伺いいたします。
県は、二〇二五広島県農林水産業アクションプログラムを策定し、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立を基本理念としながら、地域の核となる企業経営体の育成、スマート農業の実装等による生産性の向上、新たな担い手の確保・育成、農地集積や基盤整備などに取り組んでおられます。
私の地元、福山市の沼隈町では、昭和二十九年に設立された沼隈町果樹園芸組合が、平成元年より十一年間かけて、急傾斜地のブドウ園を平たん地に集約し、今では県内最大面積のブドウの産地となっています。近年ではJAと連携した担い手研修制度の導入により、新規就農者を数多く育成してきた実績もあり、また、海外輸出にも積極的に取り組んでおられます。
その経営体制が高く評価され、これまでも、全国果樹技術・経営コンクール農林水産大臣賞をはじめ、多くの賞を受賞されており、県の目指す生産性の高い持続可能な農林水産業の確立のモデルの一つになるのではないかと考えます。一方、課題も抱えており、ため池からの水をくみ上げるためのポンプの故障や、園内に張り巡らされたかんがい用水路の水漏れなど、施設の老朽化が進み、生産活動に支障を来しています。
そこで、県が目指す生産性の高い持続可能な農林水産業の確立を実現するためにも、こうした農家や団体に対する施設の維持、管理に対する支援が必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次の質問は、鞆周辺の道路整備についてお伺いいたします。
昨年十二月、鞆町の山側トンネル工事で本格的にトンネル本体の工事が始まりました。この鞆未来トンネルは総事業費約百十億円、全長およそ二千百メートルとなり、完成は令和五年度末とのことで、長年の懸案であったバイパス整備の完成を心待ちにしています。
さて、このトンネルの整備により、これまで困難であった大型バスなどの通行が可能となり、しまなみ海道や山陽自動車道から一般国道二号松永道路を経由して、松永、沼隈、鞆の浦、そして福山市中心部へと至る広域的な観光周遊ルートが確立し、今後、観光客の大幅な増加が期待されているところであります。
しかしながら、県道府中松永線においては、松永道路と接続する交差点付近がクランク形状となっていることから、慢性的な渋滞が発生しています。また、県道鞆松永線における慶応浜地区においては、交通量が多いにもかかわらず、幅員が狭く歩道もないため、交通の隘路となっており、地域住民からも、バイパスによる渋滞緩和と安全確保の必要性が強く指摘されてきたところであります。
一方、福山市の東側から鞆町に至る際の玄関口である田尻町では、菜の花祭りやあんず祭りの開催、バラ園の整備など、地域住民による観光客を出迎える体制も整い、歓迎ムードが高まっていますが、その中で私が懸念しているのが、田尻町から鞆町に至る海沿いの県道福山鞆線です。ここは、過去何度か台風が接近した際、越波によって通行止めになったこともあり、安全・安心な道づくりの観点からも護岸の整備などが求められます。
そこで、鞆未来トンネルの完成によって広域的な観光周遊ルートが確立されることを受け、鞆町周辺道路の渋滞緩和や安全・安心の確保に向け、鞆松永線慶応浜工区の道路整備及び鞆町に至る海沿いの県道福山鞆線の整備についても可能な限り早急な対応が必要と考えますが、現在の進捗と今後の計画について、土木建築局長にお伺いいたします。
次の質問は、私立学校の教員確保についてお伺いいたします。
昨年、文部科学省が公表した公立学校教員採用選考試験の調査結果によれば、全体の競争率は三・七倍と、一九九一年と同じく過去最低同率となり、特に小学校の競争率は二・五倍と過去最低を更新しました。
本県においても、一九七〇年代の第二次ベビーブームへの対応で大量採用された教員の多くが定年退職を迎え退職者が増えていることに加え、近年では教師の労働環境が社会問題となり、教員を目指す若者が減少するなど、教員の確保が大きな問題となっています。
こうした厳しい状況は、私立学校においても同様で、新規採用が難しいだけでなく、中には、定年を迎える経験豊かな教員が、私学で再任用されるより公立学校で臨採として採用されたほうが給与等の条件がよいため、私学の再任用を断って、公立に流れていくケースも生じているとのことであります。
教員不足の解消に向け、公立学校、私立学校ともに自らのために大変な努力をされていることは重々承知していますが、教員の奪い合いをめぐり、背に腹は代えられないと、いがみ合うようなことだけは、教育の世界で起こってほしくない、最も悲しい事態であります。
そこで、公立、私立の区別なく、全ての児童生徒の学ぶ環境が充実するよう、私立学校の人材確保に関わる支援を一層充実させる必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
最後の質問は、少子化対策における親や子供たちの担うべき役割と教育方針についてお伺いいたします。
岸田総理は、先月召集された通常国会において、急速に進展する少子化に危機感をあらわにし、四月に発足するこども家庭庁の下で、将来的な子供・子育て予算の倍増を目指すことを表明されました。いわゆる異次元の少子化対策であります。
少子化対策に重点投資することは大変重要なことであり、期待をしていますが、一方で、私は、投資を受ける側、つまり、子育て世代の親や子供自身が果たすべき役割についても、もっとはっきりと示していく必要があると強く感じています。それは紛れもなく、一人でも多く子供を産んでもらうということであり、そのための投資であることは誰もが異論のないことだと思っています。
しかし、この当たり前のことが様々な配慮から、どうも前面に押し出されていないように感じます。
話は飛びますが、年金法に定められている所得代替率のことを御存じでしょうか。所得代替率とは、年金の受給開始時における年金額が現役世代の収入の何%になるかという指標で、公的年金の健全性を確認する健康診断のようなものであり、その率は五〇%を下回らないように努めると定められています。二〇一九年は、六一・七%と優秀な成績でしたが、ただ、この所得代替率の計算方法が実に不可思議であります。
分母に来る現役世代の収入は税金や社会保険料を差し引いた後の手取り額の平均であるのに対し、分子の年金受給者の収入額は、なぜか、税金を差し引く前の総支給額となっているばかりでなく、その設定については、モデルケースを使い、ほぼ満額支給、しかも夫婦二人の合算額を用います。
私にはどうしても代替率を高く見せようとする意図が感じられてならないわけですが、ちなみに条件を等しくした上で、現役一人対年金受給者一人を比べた場合、代替率は三五・二%となります。つまり、平均的な年金受給者一人を見てみると、実際には現役世代の平均収入の三割程度の年金しか支給されていないにもかかわらず、所得代替率は六割を超えることから、年金財政は健全であると発表されているのであります。
こうした方式にどれだけの人が疑問を持っているでしょうか。また、制度の前提条件となる経済成長率と出生率が、仮に、現状維持できたとしても、二十年後には、代替率は五〇%以下になってしまうという現実をどれだけの人が認識しているでしょうか。
私はこうした現実をもっとストレートに国民、特に担い手である子供たちへ伝えていく責任があると強く感じます。
もちろん、結婚や出産、子育てに関しては、一人一人が多様な価値観を持ち、個々の希望をかなえることができる社会であることが大切だと思います。一方で、子育て支援策の一層の推進が図られようとしている今、結婚や出産、家族の意義、家庭を築くことの重要性、さらに、世代間扶養を基本とする我が国の社会保障制度についても、その仕組みと現状について、学校教育にしっかりと組み込み、理解した上で自分たちがどのような役割を担っていくべきか、子供たちが考える機会を設ける必要があると強く感じます。
公立学校においてどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。





