令和2年8月19日:令和2年農林水産委員会 本文

◯質疑(三好委員) 最近ちょっとトレンドになっている、水産エコラベルについてお聞きしたいと思います。
 これは特にカキについてですが、一言で言うと大変すばらしい立派な環境で作っているカキですよというものを世界基準で認証してもらい、ラベルを貼っていくということなのです。先般もカキの中間卸の経営者の方と話をしていて、震災に遭った宮城県ではASCという認証を取って、随分とブランド化が盛り上がっていると、岡山県もMSCという認証を取って、イオンなんかはもうその商標があるカキでないと買わないという状況も出てきていると、一方で、広島県は広島カキというブランドはあるのだけれども、そういったところが全く見えないがどうなっているのかということで怒られたようなことです。私もすぐに調べたのですけれども、調べてみると非常に複雑で難しいというか、いかがなものかなという思いも若干持っています。有名なのは、日本発のMEL、先ほど言ったASC、MSCということだそうですけれども、世界全体ではもう30~40種類ぐらいのラベルがあって、乱立している状況で、生産者、加工業者の方も随分と不必要な出費をしたり、混乱したりしているようです。今ではそれをさらに認証づけるGSSIという新しい機関ができて、さらにお墨つきを与えると、本当によく分からない、また、ちょっとベールに包まれたような状況だということを勉強したところです。
 先ほど言いましたように、これはうまくいけば、先ほどのイオンのようにしっかりと差別化が図られて、ブランド化ができていくということなのですが、どの認証を取っていくのかということを見誤ったり、また、生産者の方と思いが違ったりしていると、なかなかうまくいかないだろうと思います。実際にこのスキーム自体は、カキがうまいかまずいかということではなくて、持続可能で作られているかどうかといったことが基準でありますので、例えば生産者の方もアンケートを取ると、これらの認証を取る必要はないという方がまだ非常に多いのです。生産者の方にもあまり知られていない。
 こういう中で、指をくわえておくわけにはいかないし、至って政治的な部分もあるのかもしれませんけれども、生産者の方としっかりと共有して、ビジョンをきちんと提示していくということで、皆さん方の腕の見せどころだろうと思うのです。
 そこで、まず、この水産エコラベルというのはどういうふうに今認識されているのか。先ほど局長のビジョンの中でも、これから海外の輸出に通用する持続可能なカキの養殖を目指すという話でありましたけれども、こういったところから見ると、このラベルの取得はやっていくべきだと思うわけです。広島県としてどう考えるのか、また、実際にそういう動きが今既にあるのか、その辺のことをお聞かせいただけたらと思います。

◯答弁(水産課長) 御質問いただきました水産エコラベル認証につきましては、国内においても認証された水産物を取り扱う量販店が増えている等、全国的に取得を目指す動きが活発化しております。また、環境に配慮した持続的なカキ養殖を実現する上で重要であると認識しておりまして、我が県の水産業にとっても有益であると認識してございます。そのため、今後、認証取得を進めることとしております。

◯質疑(三好委員) 我が県の水産にとって有益だということでありますので、これは進めていくということでありますけれども、先ほど言いましたように、種類がたくさんあって、それぞれいろいろ審査も違うでしょうし、目のつけどころも違うと思うのです。国内で有名なのは先ほど言った3つだそうですけれども、宮城県で取ったようなASCを後追いで取っていって、さらに追いついていくということにするのか、岡山県みたいなMSCを取っていくのか、全く別のものをするのか、この辺も実際の現場でやられている方にとってみると大変重要なことだろうと思うのです。取っていくとすると、どういったことを目指していくのか、その辺を分かりやすく教えてもらいたいと思います。

◯答弁(水産課長) 委員御指摘のとおり、国際的には漁業認証のほうでございますMSC、それから、養殖の認証でありますASCというのが有名な状況でございます。日本においては、宮城県においてASCを取得、それから岡山県日生におきましてはMSCを取得しているところでございます。これらは両方とも、広島県と比べまして比較的狭いエリアで取得しているという状況でございます。その理由について、申請のためには水質やいかだの下の底質といったデータが必要になってくるような状況にございます。広島県は非常に生産力が高い海域ですが、付着物が多いという特徴もございます。したがいまして、高い生産技術を持って、いかだを移動させるというようなことも行われております。つまり複数の漁場を使って高品質のカキを作っているというのが広島カキの特徴でございます。日本で生まれたMEL認証が国際的に認められたことに伴いまして、今回、国においても取得に向けたコンサルティング支援や補助事業のメニューが拡充されているところですので、広島県において、まずは水産エコラベルのうち、取得費用の負担が少ないと思われますMELの取得を推進してまいりたいと考えているところでございます。

◯質疑(三好委員) 明快な御答弁ありがとうございます。広島県の場合はMELを取っていくのが恐らく一番いいだろうという御判断だと思いますし、先ほど言われたように、さらなる認証機関のGSSIというところもこのMELを認めたということですから、今、やるにはいいタイミングなのだろうと思います。
 先ほど申しましたように、実際に始めていくのにやはり一番大変なのは、生産者の方からしてみると、多分いろいろな準備もしないといけないし、設備もないといけないし、コストもかかるし、それが本当に将来自分たちのもうけにつながるのかというと、なかなか今すぐに見えないところがあって、不安の中でやらないといけない。これは、県だけが走っても、ついてきてくれなかったら意味がないわけで、まずはその辺の意識づくりというか、共有をしっかりしていくということが大切ですし、すぐそれがやってくるわけでありますけれども、まずそれについてはどういう工夫をするのか、具体的なものがなかったら思いでも結構ですので、生産者の皆さん方、加工業者の皆さん方とどう取り組んでいくのか、思いを聞かせていただけたらと思います。

◯答弁(水産課長) MELの制度概要、それから取得の推進の必要性につきましては、既に本年6月に生産者団体に対しまして説明、協議を行ったところでございます。もちろん加工業者の方々に対しても、今後、周知を図っていくこととさせていただいております。
 今後も、より生産者の理解が深まるよう取組を進めるとともに、先ほどおっしゃったとおり、生産者においての認知度が非常に低いということも認識しておりますので、動機づけを加速するように工夫して、周知活動に努めてまいりたいと思っております。
 それから、消費者の認知度も向上させる必要がございます。おっしゃったとおり基準がたくさんございます。埋没してしまうこともございますので、日本発のMELの周知活動に取り組んでまいりたいと考えております。

◯質疑(三好委員) 生産者団体の皆さん方と協議をしたということですが、そのときはどういう御意見が出たのでしょうか。これをやろうというほうだったのか、いい反応ではなかったのか、その辺、分かったら教えていただきたいと思います。

◯答弁(水産課長) まだまだ認知度が低い状況でしたので、もう少し地道に取り組んで、周知活動をしていく必要があると感じた状態ですが、冒頭にも申しましたとおり、持続的なカキ養殖を実現する上では非常に重要な取組であるということですので、県といたしましては、業界団体に積極的に周知活動をしてまいりたいと思っているところでございます。

◯質疑(三好委員) 恐らくそんなに頑張ろうという状況ではなかったのだろうと思うのですけれども、そこをしっかりと共有していってもらって、やはり将来に向けてやっていただきたいと思うのですが、先ほどから申しますように、なかなか思いが一つにならない中で、不安の中でもやっていかないといけないときに、しっかりとビジョンを示すということと、やはりコストとかも随分気になるところだろうと思います。ほかの県では、県や市が実際支援しているというような例も聞くのですけれども、やはり県として取り組むのであれば、その辺のことも考えていかないといけないし、費用対効果というか、どれだけ投資をしてどうなるのかということもきちんと提示されないといけないと思うのです。その辺の支援というのは今は言えないかもしれませんけれども、何かお考えになっていることがありますでしょうか。

◯答弁(水産課長) なかなか言いにくいところもございますが、県といたしましては、県西部地区に漁業者団体がたくさん集中しているということもございますので、県西部地区の漁協が本年度内の認証取得を目指して申請に向けた準備を進めているところでございます。まずはその審査に必要となる漁場環境や生産、出荷に関する資料作成等について助言をしているところでございます。先行するこれらの地区は1地区でございますが、この取組をモデルといたしまして、県全体での取組となるように拡大を図ってまいりたいと現時点では考えています。
 それから、認証取得に必要なデータの取得ということがございます。公的機関にしか取得できないような性質のものもございますので、これについては県としても協力してまいりたいと考えているところでございます。
 また、繰り返しになりますが、国においても取得に向けたコンサルティング支援や補助事業のメニューが拡充されてまいりました。公表されたのが7月ということですので、我々もこの制度の分析がまだ十分できている状況ではございません。これからその研究をするという状況にはございますけれども、こういったものも含めて、これらの活用について取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

◯質疑(三好委員) 最後に確認ですけれども、先ほどお話がありましたように、まず第1号を本年度で目指していくというスケジュール感でよろしいでしょうか。

◯答弁(水産課長) MELの取得に関しましては、本年度中に取得できることを目指しております。また、一部の生産者と流通加工業者が海外発の水産エコラベルでありますMSC認証の来年度内の取得に向けて取り組んでいるところでございます。これらの認証につきましては、漁場の底質調査でありますとか絶滅危惧種への影響評価などが含まれることから、なかなか困難な状況にあるかもしれないと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、現在策定作業を進めております次期アクションプログラムの中において、これらは検討しておりまして、今後、生産者団体とも協議の上、取得に向けたスケジュール等を決めてまいりたいと考えているところでございます。

◯要望(三好委員) ありがとうございます。ぜひとも第1号を取っていただいて、これが広がっていくように、いろいろ難しい面もあろうかと思いますけれども、しっかりやっていただきたいと思います。また、それぞれ民間でもやるわけですけれども、その辺の情報も収集していただいて、生産者と加工業者と、場合によってはこれからそういった認証を取ってもほかのものと混ざってはいけませんので、流通業者もきちんとこれにくみしてもらい、一体となって広島カキのブランドをつくっていただいて、将来海外へもしっかり出していけるようなブランドにしていただけるよう、積極的な支援をしていただきますよう御要望いたしまして、終わります。

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