令和3年農林水産委員会(三好委員)ひろしま型スマート農業推進事業、水産資源の回復に係る海底耕うんについて

  • ◯質疑(三好委員) 1つ目は、ひろしま型スマート農業推進事業についてお伺いさせていただきます。前回の委員会においても、本事業は紹介されまして、「ひろしまseed box」という愛称で、今後取り組んでいくというお話でありました。知事の定例記者会見でも紹介されましたし、本会議の答弁でもありましたけれども、県のDX推進の一環として、農業技術のカスタマイズを行って経営モデルを確立していくということでありました。企業からの具体的な提案を活用するということで、よい取組であると思いますし、今後、その成果を期待したいと思います。
     スマート農業については、内容によっては高度な技術が必要だったり、初期投資が非常に高かったりして、いかに普及させていくかが課題になると思います。
     3つのテーマで提案を募集して、計15企業グループを審査したということでありますけれども、その評価項目は、目指す姿、革新性、確実性、普及性の4つでした。
     そこで、特にこの普及性について、選ばれた3つの企業グループにおいては、どのような優位性が評価されたのか、お伺いします。
  • 11:◯答弁(スマート農業担当監) 審査項目の普及性につきましては、収益性の高い経営モデルとなるか、他品目に活用が期待できるか、事業終了後の継続性があるか、県域への普及が見込まれるかの4つの視点で審査しております。
     今回提案いただいた15件は、いずれも普及性について示されておりますが、その中でも選ばれた企業グループの提案につきまして、ホウレンソウ及びコマツナのテーマでは、コスト削減額及び生産性向上による収入増加策が明確であり、最も収益性の高い経営モデルの確立を目指しており、また、他品目への活用可能な技術を確立することも示されておりました。青ネギのテーマでは、作業時間が最も長い収穫作業を機械化する唯一の提案であり、人件費を削減し、収益性を高める経営モデルが示されておりました。ブドウのテーマでは技術が確立した後に、コストを抑えた生産者へのサービス提供方法が具体的に盛り込んであり、事業終了後の継続性の高いところが評価されました。
     3つとも、より具体的で確実性が高い提案であり、実証フィールド以外のほかの生産者にも適用できる技術となっているため、県域に波及が見込まれ普及性が高いと評価しております。
  • 12:◯要望・質疑(三好委員) 一部で囲い込むのではなく、しっかり普及されることが、「ひろしまseed box」という名前に込められた思いであると資料にも書いてありましたけれども、スマート農業の種が広島県の農業を大きく変える技術へ育っていくイメージということでありました。ひろしまサンドボックスを立ち上げられた佐伯局長が農林水産局長になられたので、意気込みも感じますけれども、スマート農業推進に当たっては、地域の特徴に応じた作業の省力化、労力軽減や収益性の高い経営など、先導的なモデルの確立を目指していただいて、初期投資の軽減や、機器・データを使いこなすためのサポート体制の整備など、農業の担い手への普及を常に見据えた上で、実証等に取り組んでいただきますよう、要望いたします。
     2つ目は、水産資源の回復に係る海底耕うんについてお伺いしたいと思います。
     最近、魚が捕れないとか、ノリも色が悪いとか、いろいろ聞きます。海はきれいになったけれども、栄養分が少なくなったという話をずっと聞いてきたところですが、そんな中、6月3日に改正瀬戸内海環境保全特別措置法が国会で成立して、今後1年以内に施行されるということでありました。今回の改正で、窒素やリンといった栄養塩類の濃度を、それぞれ沿岸の府県が、その海域の実情に応じて管理できるようになるということでありますので、今後、水産資源の回復に向けては、下水等の排水基準を緩めて、栄養塩類の量を増やすなどの取組が活発に議論されることになると思います。
     これで、沿岸部分はうまくいくと思っていますが、少し離れたところになると効果が及ばなかったりして、ここは何か手を入れていかないといけない。こういう中で、農林水産局が水産資源の回復に向けて、今年度、海底耕うんに取り組むということでありますので、大きな期待も集まっていると思います。
     一方で、こういうことを研究されている大学の先生とお話しする機会がありましたが、この取組はいろいろなところでやられており、データも随分出ているそうです。掘り起こして酸素を入れるだけだと、1年ぐらいで効果がなくなったことも中にはあります。いろいろなデータが積み上がっておりますので、こうしたことをしっかりと聞いて実施することが必要だろうと思います。中にはカキ殻を入れたり、専用の肥料を入れたりすると随分いい効果が出たということも言われておりました。全部が本県に当てはまるわけではありませんけれども、先進的な取組を参考にすることが大切だと思います。
     そこで、他県での先行的な取組事例について、どのように認識されているのか、そうした実証等の取組結果を、県としてどのように評価して、今後、どのように生かそうとされているのか、現状を教えていただきたいと思います。
  • 13:◯答弁(水産課長) 海底耕うんにつきましては、本県においてもカキの生育環境の改善を目的として取り組まれた事例がございます。また、香川県や熊本県では、底質改善による魚の増加を目的として取り組まれています。
     これらの事例では、酸素が海底質に供給されることで硫化物が分解され、ゴカイ類や二枚貝が増えるなど、魚の餌となる生物の生息環境が改善したという報告もありますが、魚の量の変化までは追跡されておりません。
     本県では、底引き網漁場において、100ヘクタールの海底耕うんを実施する予定ですが、耕うんの効果を確認するため、耕うん実施前、実施1か月後、3か月後、6か月後に科学的酸素供給量などの底質環境、ゴカイなどの餌生物の生息数に加え、カレイなどの魚類の生息状況を調査し、さらに後年次にわたって、魚の増加状況も追跡する予定でございます。
     この調査結果を、次年度以降の実施箇所や効果的な実施方法の検討に生かしてまいりたいと考えております。
  • 14:◯質疑(三好委員) いろいろ聞く中で、効果があるという話もあったり、なかなかそうでもないという話があったり、また、生物学的な研究をされている先生と工学的な先生の意見が違ったりします。見方、考え方によってもいろいろな立場がありますので、いつでもそういった意見が聞けて、いつでも軌道修正できる体制を取っておくことが非常に大切で、決め打ちしないことがいいと思っています。
     そんな中で、平成30年1月に県西部、中部、東部の3つの海域において、工業系や農業系、生物系の関係者や有識者などいろいろな団体が集まって、美しく恵み豊かな瀬戸内海の実現に向けて、地域の課題に連携して取り組んでいこうと、水質管理や海ごみについて話し合うために、環境県民局の仕切りで湾灘協議会が開催されたと聞いているのですけれども、なかなか継続的に行われていない実情もあるとお聞きいたしました。
     法律も変わり、また、いろいろな機運も高まっているところなので、環境県民局や農林水産局という管轄の問題ではなくて、豊かな海をつくろうとする農林水産局がやはりいろいろなところに呼びかけて、先導的な役割を果たしていく一番いいタイミングだと思っております。例えば、湾灘協議会にはいろいろな方が入られて海のことを思っているわけですから、そこでいろいろな事情聴取をしたり、また、例えば農林水産局で、今後の別の体制をつくったりして、海底耕うんについて、関係者や有識者が情報や知識を共有して、あるべき方向へ進むための場をつくることが必要だと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  • 15:◯答弁(水産課長) 今年度から実施する海底耕うんは、底引き網漁場の広範囲に取り組むものです。耕うんの実施方法や効果調査については、漁業関係者のほか、水産環境学、水産生物学、魚類生態学などの有識者の意見を伺うことが重要であると考え、事業の設計段階から意見をお聞きしながら進めております。
     今回の取組を通じて、底引き網漁場の底質改善が進み、食物連鎖がもくろみどおり循環しているかどうか、県が設置する有識者会議で検証していただく予定としております。
     また、栄養塩類管理計画の策定や関連する調査の内容に関しましては、国からガイドラインが示されると伺っておりまして、県の関係部局や瀬戸内海関係府県とも情報共有しながら適切に対応してまいります。
  • 16:◯要望(三好委員) 県が有識者会議を設置するということでありますけれども、せっかくの新しい取組ですので、できるだけいろいろな方に入っていただき、しっかり見ていただくようにしていただけたらと思います。
     国が栄養塩類管理のガイドラインを出すということですけれども、それぞれの海域で違ってくると思いますし、工業系の方はこれまで窒素やリンを出さないことが前提になっているわけで、今度は適正に出すということですから、結構難しい話だと思います。これが本当に海を豊かにするかを見ていくためには、やはり農林水産局がしっかりやらないといけないと思います。海底耕うん以外はお任せだとうまくいかないと思うので、できるだけ多くの方に呼びかけていただいて、取組を進めていただきたいと思います。
     海底耕うんのモデル地区での実施に当たっては、水産資源の回復に向けた環境改善効果が十分に発揮されるよう、先行的な事例を評価、検証するとともに、漁業者や有識者などの関係者が一堂に会して、情報や知識を共有できる場を設けて、取組が最適な方向に導かれる体制を整えていただきますよう要望いたします。

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